チョコレートというテーマであらゆる作家の方々のエッセイを集めたこの本。
まあ好きな作家さんたちばかりで、「なんて豪華なんだこの本は!最高だぞ!」という気持ち。
こんな本をプレゼントされたりしたら一瞬で好きになってしまうなあ。収録作品は以下のとおり。
三つの嗜好品(森茉莉)
よその女(江國香織)
チョコレートモンスターのプレゼント(溝口シュテルツ真帆)
バレンタイン傷(大宮エリー)
チョコと鼻血(中島らも)
「義理チョコ」とは何か(浅田次郎)
I WANT義理チョコ(東海林さだお)
一途な瞳のバレンタイン(青木奈緖)
チョコレート(宮下奈都)
ヘフティのチョコレート 3000円(角田光代)
聖バレンタイン・デーの切り干し大根(村上春樹)
チョコレート慕情(阿刀田高)
玩具として買うには面白い(片岡義男)
チョコレート(辻静雄)
チョコレート―le chocolat(鹿島茂)
幸せショコラの原風景(小椋三嘉)
燈火節のクレープ(増田れい子)
チョコレートとワイン(田崎眞也)
消えた生チョコレート(森村桂)
美味・珍味・奇味・怪味・媚味・魔味・幻味・幼味・妖味・天味(開高健)
ホットチョコレート(酒井順子)
真夜中のチョコレートケーキ(伊藤まさこ)
限りなく上品で甘美な風味。余韻をいつまでも楽しみたい……。チョコレートって、大人の楽しみかも。(渡辺満里奈)
筋金入りのチョコジャンキー(土器典美)
神様の食べもの(楠田枝里子)
チョコレート(竹中郁)
チョコレートの系譜(田沢竜次)
チョココロネ(宮内悠介)
チョコレートと私(町田忍)
バレンタインデー(初見健一)
「ホワイトデー」の話(伊集院光)
刑務所の中(平松洋子)
長友(穂村弘)
ある日の私とチョコレート(鈴木いづみ)
甘い恋(西加奈子)
本命のチョコ食いあかす犬心。(伊藤比呂美)
ぼくのお母さん(川上未映子)
狼とチヨコレート(小川未明)
江國香織さんのいくつもの週末 (集英社文庫)というエッセイはわたしの人生の中で一番読んだ本であり、一番グッとくる本であったので、そのひとつが収録されていてまたほっこり。いいんですよこのエッセイは。
しかもこのチョコレートの話を読んで、わたしの中に眠っていたチョコレート好きな気持ちが爆発し、すっかり今はチョコレート好きになってしまったんです。
他の方々の作品も、他の文庫ですでに読んだものもわりとありつつ、やっぱり素敵。村上春樹さんは素をちょっと垣間見た感じであまりにも”普通”なおじさまだし、角田光代さんや伊集院光さんや、西加奈子さんは「ケッ!」って感じ。
川上未映子さんはまさしく川上ワールド!できゅんきゅんしてしまったし、大宮エリーさんの話はやっぱり笑ってしまった。
誰にしもバレンタインの思い出ってひとつやふたつ、あるもんだよね。
わたしが今パッと思い出すのは、幼稚園の時にいじめっ子の女の子にミッキーのチョコを取られたこととか、学生の頃ブラウニーを作ったつもりがクッキーだと思われていたとか、アルバイト先でホワイトデーを期待してちょっと豪華な義理チョコを挙げたけれどお返しがなかったとか、しょーーもない思い出ばかり。
でもまあ、いろいろ考えると、チョコレート業界もたくさんの思い出を作ってくれているのねえ。
良い思い出ばかりではないけれど、悪くもない。この本を人にすすめて、わたしもついでにセンスのある人だと思われたい。